農業法人化のメリット②では、地域農業としてのメリットと制度面でのメリットを紹介します。
2、地域農業としてのメリット
新規就農の受け皿
・農業法人に就農することにより、初期負担なく経営能力、農業技術を習得
「新規就農者は、農業をやったことがないため当然経営能力や農業技術を持っていない。また、個人で初めから農業を行うには農業機械などの購入費用も必要になる。このため、新規就農者向けの支援制度はあるものの相当の覚悟が必要になる。一方、農業法人に新規参入すれば、日々の農作業の中で農業技術の習得や法人所有の機械で機械の取扱技術の習得も可能である。それも初期投資はなく、逆に安定した収入も期待できる。
農業技術など習得後に自ら農業法人経営も可能であり、そういったケースも少なくない。」
3、制度面でのメリット
税制
・役員報酬を給与所得とすることによる節税
(役員報酬は法人税において損金算入が可能。また、所得税において役員が受け取った報酬は給与所得控除の対象となる。)
「個人の農業経営の場合の所得は、農産物の販売額やその他の収入金額から、農業生産・販売に係る必要経費を差引いた額。農業法人の所得は、収入金額から農産物の生産・販売などに係る必要経費と役員報酬を差引いた額になります。よって、農業法人の場合、必要経費+役員報酬も差引くことができるので個人経営より農業法人の方が税の面で有利である。」
・欠損金の10年間繰越控除(青色申告をしている個人事業主は3年間)
融資限度額の拡大
・農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)の貸付限度額
〇個人3億円(複数部門経営は6億円)
〇法人10億円(民間金融機関との協調融資の状況に応じ30億円)
「スーパーL資金は、個人、農業法人の認定農業者に対して日本政策金融公庫が融資する規模拡大やその他の農業経営改善を図る目的の制度資金である。農業法人の場合は、貸付限度額が個人に比べて3倍以上であり、農業法人には優遇された制度である。」